荷物送りの進め方と口上

2011.05.11

荷物送りは早朝からはじまり、午前中に相手方に届けるように進められます。荷宰領の指揮によって、荷物目録をひとつひとつ照合の上で花嫁の荷物が積み込まれます。箪笥には油箪といって紺、花色、前黄色の布に花嫁の家紋を染めたもの、または唐草模様の布がかけられてあるのか通例です。荷物が積み込まれたら、花嫁方では荷宰領に祝い酒を出し、花嫁の父親が「本目はお忙しいところをお役めご苦労さまでございます。目録どおり先方さまへお届けくださいますよう何分よろしくお願いいたします」といって、荷物目録、鍵袋を渡します。「荷宰領はあらためて目録と荷物を照合した上でたしかにお届け申しあげます」と述べて出発します。花嫁方では、荷宰領以下、運転手、助手、人夫にそれぞれ祝儀を出します。だいたい荷宰領五千円、運転手二千円、助手、人夫千円というところで、これは嫁方、婿方の双方が同額を出すよう申し合わせておきます。荷物か婿方に到着すると、花婿、父親、仲人が出迎えます。まず荷宰領が口上を述べます。「本日はお日がらもよろしく、まことにおめでとうございます。鈴木(嫁方の姓)よりお荷物を私か使者として持参いたしました。どうぞおあらための上お受取りくださいますように」そして仲人に向かつて「これが目録と荷物の鍵でございます。お受収りくださいませ」と差し出します。仲人は「お役めまことにご苦労さまでございます。たしかにお預りいたしました」と受取って、婿方に「鈴木家(嫁方)からお荷物が届きました。これか目録と鍵袋でございます。おあらための上お受取りください」と取次ぎます。婿方では「たしかに受収りました。お役めご苦労さまでございました」と受けます。このあいさつのなかで注意することは、前記のように荷物はあくまでも花嫁のものであって婿方へ贈ったものではないのですから、婿方が「おりがたく」とか「たしかに頂戴いたしました」ということばを口にしてはならないのです。婿方は、目録と荷物を一々照合したうえで運び込み、所定の位置に置きます。