ストッキングはイビチの白と黒

2011.05.06

「ボンジョールノ、みなさん、お待たせしてごめんなさい」軽やかな紺色のトレンチコートを着て、ガブリエック(仮名)が勢いよく店に入ってきた。取材最終日のこの日、キャンティにある彼女の自宅を撮影するため、店で待ち合わせ車で一緒に行くことになっていたのだ。トレンチコートのウエストはキュと絞られ、裾がふわりと広がって、丈はちょうど膝頭の真ん中あたり。そこからパール色のストッキングの脚が伸びている。「今日のストッキング、いい色ですね」と言うと彼女はいつものテキパキとした口調で、「ありがとう、これはイビチのよ。ストッキングはイビチの白と黒と決めているのよ」と言う。この日本人のシニョリーナ(お嬢さん)は、会うたびに、その服はどこで買ったの?その靴は、そのバッグは、その香水は?と質問攻めにする、そう彼女は心の中で苦笑していたことだろう。いつも親切に答えてくれる彼女の態度には、「私って○○なヒトなの」的な自慢がましさはまったくなく、さっぱりとしていて好もしかった。