むしろ不思議だったのは、そうやって他の患者さんから怒鳴られても、彼女がそれに対して何の反応も示さなかったこと。同室者がナースステーションで看護師になだめられ、ようやく気持ちを落ち着けて病室に戻っても、「あら、やっぱりおなかが張るわ。あなたは便が出たって言ってたわね。いいわねえ」とやられ、もうあきらめて無視してくれた、などということもありました。「一見なよなよとして弱く見えるけど、彼女が一番強いのかもしれない」私たちはその場面を見て、しみじみそう語り合ったものです。普段の彼女は非常に弱々しく、人にしなだれかかってくるような印象の女性。年よりも若く見える外見とともに、非常に「女」を感じさせる患者さんだったと言えます。それだけに、身もだえしながらの訴えは、妙に媚を含むようで生々しく、私にとってはなお受け入れがたくもありました。