初孫に会いにはるばる日本からやってきた母を、空港に迎えに行った時のピンクの毛糸の帽子、イスタンブールの迷路のような街を歩いた時の、ヘルメットのようなベージュの帽子、初春の午後、アクロポリスの下の廃墟で日なたぼっこをした時の、黄色のボンボン帽子、最初の夏をエギナ島で過ごした時の緑のターバン、お誕生日にかぶったうさぎの耳の帽子……あれはほら、スペイン、麦ワラ帽子が似合っているでしょう……古いアルバムを広げるたびに、まるで帽子のファッションショーのような光景が繰り広げられる。しかし、その結果、夏はアセモに、冬はカサブタに苦しめられることになった、気の毒な娘の姿までは写真に残っていない。その娘も今や十三歳。ウェストにまで届きそうなまっすぐな黒髪が何よりも自慢の美しい娘に成長した。
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