卒業二十年目の医者が一般病院に勤めていれば、だいたい千五百万円から二千万円の年収が相場だろう。開業医はそれこそぴんきりだが、おおむねその数倍の年収があると考えればいい。そんななかで、一千万円にとどかないのは少々気の毒な気もする。しかしまあ、それは「医者として」の収入を基準にした話で、世間一般から見て極端に悪いということではもちろんない。そういえば、このクラス会の会費は四万円だった。「えらく高いじゃないか。政治家のパーティー並みだな」と幹事に皮肉ると、「半分は母校の同窓会への寄付にするのだよ。それに、誰からも文句なんかでていない」と言う。また、パーティーが終わったあと、いくつかのグループに分かれて二次会に行った。ぼくは、二十人くらいのかたまりと一緒に、ホテルの地下のクラブでコンパニオン嬢をはべらせて飲んだ。水割り二、三杯、時間にして一時間ほどである。そして三次会に出発。「おーい。一人、一万五千円ずつだ」みんな、その勘定も当然のように受け入れ、スムーズに壱万円札が集まった。なんだかんだと言いつつ、医者であれば、それくらいの金額は苦もなく出せるということだ。ぼくは、それが悪いと言っているのではない。医者はそれなりに経済的に恵まれている。そのことを医者自身、もう少し自覚してもいいのではないかと感じているだけだ。