ファッションで世界一の企業に

2011.08.26

かつて一九八九年ごろから一九九〇年ごろまでは順調に売上も推移していた。創業者・H社長も近い将来、株式上場し「ファッションで世界一の企業になる」と豪語していた。しかし、それから二年後の一九九一年三月期から急速に業績は悪化し始める。ワールドの強みは、商品の販売先が約六〇〇〇店の専門店を対象に成長してきたアパレルメーカーであることだ。業界の中では、同社は専門店対象の取引であるため返品のない完全買取りの商売だ。それは返品が当然という百貨店相手のアパレルや、価格決定権をにぎられたスーパーとは全く異なる商売だけに、うらやましがられていた。ところが、その神通力もいつの間にか失われていた。その大きな要因は、百貨店や大型専門店の台頭で地域の専門店との取引には限界があったため。この限界に当時の幹部たちは気づかなかった。その当時のことをHは次のように述べていたのが印象的だ。「カエルが水の中にいる時は外部から加熱されると水が熱湯に変わっているのが分からないので死んでしまう。しかし初めから熱湯にカエルを入れれば驚いて跳び上がる。今のワールドは周囲の環境の変化が分らないので、このままだと死ぬしかない」と。つまり変化に対応できる組織がなかったということだ。

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