二〇〇二年四月、アバクロンビー&フィッチに怒りの電話が殺到し、慌てた会社はすぐに二二一の店舗すべてから三種類のTシャツを引き揚げた。そのうちのひとつは、円錐形の帽子を被った中国人の洗濯屋ふたりに「ウォン兄弟の洗濯屋―ふたりのウォンが真っ白に仕上げます」(TwoWonesCanMakeItは、諺のTwowrongsdontmakearight〔悪事が重なっても善事にはならない〕をもじった、TwoWongsdontmakeawhile〔ウォン(代表的な中国人名)がふたりでも白人にはならない〕という人種差別表現のパロディ)という文字の添えられたデザイン。抗議電話の趣旨は、そうした商品は偏見に満ちたアジア人のイメージを助長するというものだった。これに対して、スポークスマンは、弊社としては、消費者、特にアジア系の皆さんに気に入ってもらえると思ったのですが、などと述べている。異文化に関してどれほど無頓着なアパレル業者が存在するかを示すいい例だ。くどいようだが、他人をどれだけ不快にするかというのは、誰がその服を作ったかによるところが大である。たとえば、〈ウォン兄弟〉のようなふざけたシャツを作ったのがヴィヴィアン・タム(中国・広東省生まれ。