両国に適当な土地が見つかり、本格的外断熱マンション(サーモスシリーズ)の第一号として着工となりました。主にコストの問題からどこのデベロッパーも手をつけていなかった外断熱マンションを、創業2年目で始めるのは賭けでした。もしユーザーに理解してもらえず第一号で空き室だらけだったら、会社自体がなくなってしまいます。失敗したら終わり。それでも賭けに挑戦したのは、日本のマンション業界を変えたいという大きな理想がN氏にあったからでした。「マンション業界としてのあるべき姿を考えると、ちょっと違うのではないか、という思いが会社をやめる前からありました。結露なんて当たり前、結局は売れればOK、そこに何の疑問もない。超高層マンションが売れればこぞって建ち並ぶけど、超高層マンションの上階というのはパッと外に出られないから生活しにくいんです。だからヨーロッパでは超高層マンションは建てられないと聞きました。でも日本では、売れれば供給すればいいと。外断熱工法というのがあって、それが良いことは、いまやどこのデベロッパーも知っているはずです。しかし、デフレ経済の低価格志向のなかで買ってくれるのかと、そこばかり考えている。売れればやるけど、売れなければやらない。良いマンションかどうかは関係ないんです。それは供給サイドとしてちょっと無責任ではないか。私は外断熱工法をマンションの差別化としてやっているわけじゃありません。住まわれる方の立場に立ってものを造るのがわれわれの使命です。環境にも住み手にも本当に良いマンションを供給しようと考えるなら、現状では外断熱しかない。私は10年後に引退しますが、そのとき日本の新しいマンションの9割が外断熱になっているはずです」(N氏)